宮城県医師会災害対策本部から医師会員、県民の皆様へお知らせ
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3月11日東日本大震災の発災以来、宮城県医師会は災害対策本部を設置し、主に医療救護活動の調整と医療機関の復旧に全力を挙げてまいりました。しかし時間的な余裕が無かったこともあり、なかなかその活動内容が伝わらないという感じもしております。

そこで発災以来の宮城県医師会の活動を簡単にまとめましたのでご報告いたします。


1.3月11日から1か月の医師会活動

3月13日に、「宮城県医師会災害対策本部」を立ち上げ、業務、地域分担を決めて活動を開始しました。また被災の著しい気仙沼市から山元町までの沿岸部を全て視察しました。救急、災害担当の役員は、発災当日から毎日県の災害対策本部に詰め、他の宮城県災害医療コーディネーターとともに、急性期の医療復興に尽力しました。また1か月間は毎日「災害対策本部ニュース」をホームページに掲載し、現在は「週刊ニュース」を掲載しています。

宮城県医師会災害対策本部

2.被災状況の確認

各郡市医師会からの情報、およびアンケート調査、現地郡市医師会事務局からのヒアリングなどを通して、被災状況の正確な把握に努めました。その結果、「全壊」の医療機関は104機関、「半壊」の医療機関は71機関であることが判明(8月10日現在)しています。

被災地(仙台空港周辺)

被災医療機関(石巻市)


3.医薬品の分配

3月19日、日本医師会を介して日本製薬工業協会から米軍機により6トンの医薬品が仙台空港に届けられ、また各地の医師会からも多くの医薬品が届けられました。これは早期に沿岸部医師会に配布されました。薬剤輸送には自衛隊、ヤマト運輸のご協力をいただきました。また5月28、29日に日本製薬工業協会から更に届けられた約20トンの医薬品を、医師会の役員、職員が総出で同協会職員と共に分配し、これも県内の被災医療機関など(44機関)に配送しました。

医薬品の配分作業

医薬品の配分作業


4.災害復旧補助金について

公的な医療機関および在宅当番医や在宅医療支援診療所などの政策医療に協力する機関には、「医療機関等災害復旧費補助金」が出ます。しかし多くの民間医療機関には、どこからも補助金は出ません。このことは国会などでも問題となっており、細川厚生労働大臣(当時)は「地域医療再生基金の活用」などを明言しております。この件に関して、会長名で細川厚生労働大臣宛(当時)に要望書を早くから発出しています。

要望書はこちら

今後はこの問題が宮城県医師会の最大の課題であると認識しており、現在は宮城県保健福祉部医療整備課に様々な要請を行っています。

5.JMAT(日本医師会災害医療チーム)について

今回の災害に関して初めて日本医師会のJMAT(日本医師会災害医療チーム)が派遣され、大活躍をしました。宮城県の被災地には641チーム(7月14日現在)が入り活動を行いました。宮城県医師会は、郡市医師会、宮城県と連携を取りながら日本医師会や他団体からの医療団の配置調整などに全力を挙げました。なお今後は、宮城県と宮城県医師会の災害医療協定に基づき、費用弁償が行われる予定となっております。また現在JMAT宮城の創設を行っております。

山口県のJMAT

宮崎県のJMAT


6.東日本大震災被災者に対する健康への取り組みについて

長期にわたる避難所や仮設住宅での生活などで、摂取栄養量の偏り、衛生状態の悪化、瓦礫から出る粉塵、被災後のストレス等により、感染症、呼吸器疾患、消化器疾患、循環器疾患、脳血管疾患の発症、精神症状の出現が懸念されます。また、慢性疾患の悪化、重症化への適切な対応なども喫緊の課題となっており、なるべく早期にこのような状況を把握し、適切な対応をとることが重要と考え、被災された方々に対する総合的な健診を行うことが必要であり、そのための体制づくりを国が主導的に推進することが望まれます。宮城県医師会は、被災者に対する的確かつ総合的な健診の早急なる実施を東日本大震災復興対策本部長である菅直人内閣総理大臣(当時)あてに要望しております。

以上簡単に今までの活動を振り返って、ご報告いたしました。福島県での原発事故問題は、宮城県にも影響しております。今までは医療機関再建などのハード面が主でしたが、今後は医療人の定着、離散防止が大きな問題になると思います。東北大学、基幹病院などとも緊密な連絡を保ちながら人材確保に努めてまいりたいと考えています。以上の活動にご理解を賜り、今後ともよろしくご支援のほど、お願い申し上げます。

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